このページでは、京ことばのちょっとした豆知識やことばの由来、知って得する雑学などを、4コマ漫画付きでわかりやすくご紹介いたします。
豆知識インデックス
ご覧になりたい豆知識をお選び下さい
はんなり 発音の特徴
ラチあかん 上ル・下ル(あがる・さがる)
はんなり
アクセント=「は」もしくは「は」にアクセントを置く発音があります。
※4音節の単語については特に揺れる傾向が強いと言えます。(詳しくは、「もっと!もっと!京ことば」シリーズ付属の京ことばテキストP12-P13を御参照下さい。)
「はんなり」とは、「陽気で上品な明るさ」「すかっとしたさま」という意味です。
全国的に有名な京ことばの一つ「はんなり」。この言葉の語源は 「花なり」の略ということであり、文法的には、花(華)に状態を表した接尾語「り」が付いて、撥音化し強められた語 (京ことば辞典引用) となっています。
現在、京都においての一般的な使われ方としては、「上品で明るいさま」「落ち着いたはなやかさを持つさま」等、主に色彩に用いられる場合がほとんどですが、趣きや眺めに使う場合もあります。
しかし、春の桜を見て「はんなり」と言う事はあっても、秋の紅葉に使われる事はあまりありません。 派手な色使いやポップな蛍光色に対しては使用されないのです。また「はんなり」としたさまを感じさせる条件として、ある種独特の「上品さ」も不可欠のように思えます。
ではその「上品さ」とは一体何でしょうか?
そこを追求して行くと、そこには古都の 歴史に育まれた繊細な感性がおりなす「風情」が見えてきます。また四季を通して随所にあらわれる「京都らしい華やかさ」が、介在しているのかもしれません。 「京都に華あり」「はんなりと京都」…ぜひともこの趣きあるニュアンスを、京の都で探してみてください。
発音の特徴
長音化
京ことばの特徴として、まず一音節の語を長く伸ばす『長音化』があげられます。
「胃→イー」「気→キー」「子→コー」
「目→メー」「毛→ケー」「歯→ハー」など
短音化
語末母音を短くする『短音化』も存在します。
「お人形→おニンギョ」「山椒→サンショ」
「先生→センセ」など
連母音のなまり
その他『連母音のなまり』というのもあります。
「見える→メール」「消える→ケール」「さしてモーテ」など
その他の特徴
その他の特徴として【撥音化(ン)】「尋ねる→たンねる」や、【促音化(ッ)】「日曜→ニッチョ」なども挙げられます。
京都人が、独特の滑らかな音感によって言葉を紡いでいることが、これらの事からもよく伺えます。
ラチあかん
アクセント=ラを強調して発音します。
「ラチあかん」とは、「お話にならない」「物事がはかどらない(決まらない)」という意味です。ラチ(埒)とは馬場の周囲に設けた柵のことです。
さて、では何故「ラチあかん」が「お話にならない」の意として使われ出したのでしょう?
その秘密を解くカギは、京都三大祭の一つである葵祭(あおいまつり)にあります。祭といえば葵祭をさすほど、歴史と格式のある「王朝絵巻」さながらの壮大な大行列です。1200有余年の歴史を誇る京都では、年間300を越す祭があるといわれております。中でも「葵祭」は、すでに7世紀の終わり頃に始まったとされる古い祭礼です。
奈良時代の記録によれば、騎射行事中心の勇壮な祭であったとされていますが、平安時代に入り国家的な祭と位置付けられ、現在のような盛大な行列をともなう祭となりました。現代では「牛車」や「神輿(みこし)」を始め、総勢510人すべてにフタバ葵をかざし、1.2kmにも及ぶ大行列がみられます。なかでも行列の中心というべき「斎王」とは、賀茂の社に仕えた未婚の内親王の事ですが、現在は代理の「斎王代」が民間から選出されています。
祭のハイライトは15日の行列ですが、祭の前儀として5月5日に朝の神事の最後に「競べ馬」が行われます。これは上賀茂神社の「一の鳥居」をくぐった左側に200m程の馬場の周囲に柵<埒 らち>を設け、舞衣装を着けた「乗尻」と呼ばれる騎手が、2頭1組で競走をする行事なのですが、その疾走する様は、さながら室町時代にタイムスリップしたかの錯覚を引き起こすことでしょう。
この「競べ馬」の前に馬を埒の中に入れ、馬場に馴れさせるのに時間が掛かる事から、待たされる観客のイライラした気分を「埒があかない」と表現するようになったといいます。
これは日本最古の競馬レースから生まれた「京ことば」のひとつです。埒が開くのを心待ちにしていた当時の人々の興奮が、目に浮かぶようですね。
上ル・下ル(あがる・さがる)
アクセント=どちらも一本調子で流れるように発音します
京都で地元の人に道をたずねたら、「ソコどしたらココを上がらはって一筋目を東に入ったトコですわ」…などと言われ、「上がらはる?東に入る?」ってなんだ?と他府県の人から疑問に思われる事がよくあると思います。これは京都市中心部の道が、ほぼ碁盤の目のようにまっすぐに伸びており、四条烏丸といえば四条通りと烏丸通りの交わるポイントを示すもので、その地点から
「上ル=北へ行く」「下ル=南へ行く」
「西入ル=西へ 行く」「東入ル=東へ行く」
という事に基づいているのです。各通りの名前さえわかれば、迷う事も無く、慣れてしまえば非常に便利です。ぜひ京都にお越しになる際には、地元の人に道をたずねて「ナマの京ことば」を聞いてみて下さい。きっと丁寧 に「はる」を交えて「上ル・下ル・西入ル・東入ル」と、教えてくれるハズです。
尚、「四条烏丸」表記の場合は四条通りに、「烏丸四条」表記の場合は烏丸通りに面している事が多いです。