アクセント=ラを強調して発音します。 |
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「ラチあかん」とは、「お話にならない」「物事がはかどらない(決まらない)」という意味です。ラチ(埒)とは馬場の周囲に設けた柵のことです。 |
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さて、では何故「ラチあかん」が「お話にならない」の意として使われ出したのでしょう? |
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その秘密を解くカギは、京都三大祭の一つである葵祭(あおいまつり)にあります。祭といえば葵祭をさすほど、歴史と格式のある「王朝絵巻」さながらの壮大な大行列です。1200有余年の歴史を誇る京都では、年間300を越す祭があるといわれております。中でも「葵祭」は、すでに7世紀の終わり頃に始まったとされる古い祭礼です。 |
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奈良時代の記録によれば、騎射行事中心の勇壮な祭であったとされていますが、平安時代に入り国家的な祭と位置付けられ、現在のような盛大な行列をともなう祭となりました。現代では「牛車」や「神輿(みこし)」を始め、総勢510人すべてにフタバ葵をかざし、1.2kmにも及ぶ大行列がみられます。なかでも行列の中心というべき「斎王」とは、賀茂の社に仕えた未婚の内親王の事ですが、現在は代理の「斎王代」が民間から選出されています。 |
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祭のハイライトは15日の行列ですが、祭の前儀として5月5日に朝の神事の最後に「競べ馬」が行われます。これは上賀茂神社の「一の鳥居」をくぐった左側に200m程の馬場の周囲に柵<埒
らち>を設け、舞衣装を着けた「乗尻」と呼ばれる騎手が、2頭1組で競走をする行事なのですが、その疾走する様は、さながら室町時代にタイムスリップしたかの錯覚を引き起こすことでしょう。 |
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この「競べ馬」の前に馬を埒の中に入れ、馬場に馴れさせるのに時間が掛かる事から、待たされる観客のイライラした気分を「埒があかない」と表現するようになったといいます。 |
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これは日本最古の競馬レースから生まれた「京ことば」のひとつです。埒が開くのを心待ちにしていた当時の人々の興奮が、目に浮かぶようですね。 |